国際がんゲノムコンソーシアム「ICGC-ARGO」がLancet Oncology Commissionと共同で論文を発表- 世界的ながんゲノミクスとプレシジョン・オンコロジーの格差解消に向けたロードマップを提言。当社団理事長・吉野孝之もコミッショナーとして参画 –

吉野孝之
一般社団法人22世紀先端医療情報機構
代表理事・理事長

当社団の代表理事・理事長である吉野孝之がエグゼクティブ・ディレクターを務める国際共同研究プロジェクト「ICGC-ARGO」より、国際的医学誌『The Lancet』とのコラボレーション(Lancet Oncology Commission)による最新の論文成果が発表されましたのでご報告申し上げます。

本成果は、2026年9月25日に香港で開催された「世界がん会議(World Cancer Congress)」にて発表されるとともに、『Lancet Oncology』誌に掲載された総説(Review)を筆頭に、Lancet系列誌に計12本の論文として一挙掲載されました。

■ 本取り組みの背景と概要

プレシジョン・オンコロジー(がん精密医療)は近年の高度なゲノムデータの活用により目覚ましい進歩を遂げています。しかし、その恩恵を受けられる地域には世界的に大きな偏りがあるのが現状です。

今回の共同研究『Accelerating equitable cancer genomics and precision oncology in health care and research(医療および研究における公平性が担保されたがんゲノミクスとプレシジョン・オンコロジーの加速)』は、世界のがん精密医療における現状と格差を、過去に例を見ない規模で包括的に評価したものです。

■ 主な分析結果と提言

本コミッションの調査により、世界で年間約700万〜800万人のがん患者が標準的な分子検査を必要としているにもかかわらず、実際には約5人に4人(80%)が必要なバイオマーカー検査を受けられていないという深刻な実態が浮き彫りになりました。分子検査や高度ながん治療の多くは富裕国や一部の先進的な地域に偏在しており、医療システムや研究データのエコシステムにおける国際的な格差と分断が指摘されています。

この課題を解決するため、本コミッションは各国の資源(リソース)の水準に応じて段階的にゲノム医療を導入できる「資源層別化実装フレームワーク」を含む、4つの具体的な実装ツールを提言しています。

提言された4つのツール:
価値基盤型・資源層別化実装フレームワーク(Value-based resource-stratified implementation framework)
医療システム適応度評価ツール(System-readiness assessment tool)
プレシジョン・オンコロジー人材コンピテンシーフレームワーク(Precision oncology workforce competency-based framework)
プレシジョン・オンコロジーモニタリング&評価フレームワーク(Precision oncology monitoring and evaluation framework)

■ 日本からの参画と貢献

ICGC-ARGOは本コミッションの複数のセクションを主導し、当社団理事長の吉野孝之もコミッショナーの一人として本プロジェクトの推進に深く貢献いたしました。吉野は今回の発表に際し、以下のコメントを寄せています。

【ICGC-ARGOエグゼクティブ・ディレクター/当社団理事長 吉野孝之のコメント】「ICGC-ARGOは、今回提言されたフレームワークをグローバルネットワーク全体で速やかに運用していきます。標準化されたデータシェアリングと、各地域の資源に応じた段階的な医療実装に注力することで、医療システムにおける不平等を打破し、命を救うプレシジョン・オンコロジーの恩恵が世界中のすべてのがん患者さんへ確実に行き渡るよう努めてまいります。」

また、今回同時掲載された12本の連動論文の中には、日本から国立がん研究センター東病院の坂東英明先生らが執筆した、日本・韓国・中国・オーストラリアにおけるプレシジョン・オンコロジーの実態に関するレビュー論文(『The Lancet Regional Health – Western Pacific』掲載)も含まれており、アジア地域におけるゲノム医療の現状を伝える重要な足跡となっています。

■ 各種リンク・詳細リソース

Lancet Oncology Commission 特設ページ(論文リンク)
https://www.thelancet.com/commissions-do/accelerating-equitable-cancer-genomics

坂東英明先生らによるアジア地域のレビュー論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666606526001859

ICGC-ARGO公式プレスリリース
https://www.icgc-argo.org/news/47/landmark-global-initiative-sets-out-a-new-roadmap-for-equitable-precision-oncology

全体プレスリリース(オスロ大学病院発信)
https://www.ous-research.no/home/institute/press-release/27020

当社団は今後も、ICGC-ARGOをはじめとする国際的な研究ネットワークとの連携を深め、世界の誰もが最適な先進医療を受けられる社会の実現を目指してまいります。