当社団の理事長が中心の研究グループによる研究論文がNature Medicineに掲載されました

当社団の理事長(吉野孝之 国立がん研究センター東病院 消化管内科長)が中心の研究グループ(産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」)が(GI-SCREEN-JapanおよびGOZILA Studyを通じて行った研究において、患者さんの血液を用いてがんのゲノム異常を検出する検査(リキッドバイオプシー)を治験のスクリーニングに取り入れた結果、従来の腫瘍組織検査に比べてより迅速に検査結果が返却され、より多くの患者さんが治験に登録されたことを世界で初めて示しました。

本研究では、進行消化器がんの患者さんを対象にした腫瘍組織を用いたがんゲノムスクリーニングプロジェクト「GI-SCREEN-Japan(腫瘍組織検査)」と、リキッドバイオプシー研究「GOZILA Study(リキッドバイオプシー)」のゲノム解析結果において結果判明までの期間や適合する治験への登録割合及びその効果を比較しました。その結果、リキッドバイオプシーが腫瘍組織検査と比べ、約22日早く解析結果が判明し、さらにゲノム解析結果に基づき、対応する治療薬の治験に登録した患者さんの割合が高まることが明らかにしました。この研究成果が、本研究成果は米国科学雑誌「Nature Medicine」オンライン版(2020年10月5日付:日本時間10月6日)に掲載されます。

GI-SCREEN-Japanは、国内の主要ながん専門病院や大学病院と協働して、進行消化器がんの患者さんの腫瘍組織を遺伝子パネル検査(Oncomine Comprehensive Assay)で解析し、治療薬を届ける全国がんゲノムスクリーニングプロジェクトです。さらに2018年1月より、GI-SCREEN-Japanの基盤を活用し、進行消化器がんの患者さんの血液をリキッドバイオプシー(Guardant360®、Guardant AMEA Inc.)で解析するスクリーニングプロジェクト「GOZILA Study」を、米国Guardant Health社との共同研究を行い、消化器がんにおいて、患者さんの血液を用いてがんのゲノム異常を検出する検査(リキッドバイオプシー)を治験のスクリーニングに取り入れた結果、従来の腫瘍組織検査に比べてより迅速に検査結果が返却され、より多くの患者さんが治験に登録されたことを世界で初めて示しました。

本研究の成果により、リキッドバイオプシーがスクリーニング検査としてより多くの治験に活用されることで、より多くの患者さんに最善の医療を提供できることが期待されます。また、新たなドライバー遺伝子異常の発見により、これまで着手されていなかったドライバー遺伝子異常に対する治療開発が活発化する可能性があります。なおGOZILA Studyでは、既にリキッドバイオプシーの結果に基づく医師主導治験が複数実施されています。今後も本研究グループは、一人でも多くの患者さんが最善の治療を受けられるよう、リキッドバイオプシーによるがんゲノム医療の実現を目指してまいります。

詳細はこちら
Nature Medicine
Nature Medicineに掲載された論文

国立研究開発法人国立がん研究センターの本件に関するリリース
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の本件に関するリリース
Guardant Health社の本件に関するリリース

トップに戻る